介護が必要な状態になり、自由に動きにくくなった高齢者は、尊厳が損なわれるような状態になることが多いと言われています。介護施設で働く場合、入居者である高齢者の尊厳を守ることは、介護のプロとして必ず身につけたいことの一つです。高齢者の尊厳を守りながら行う介護とは、どのようなものなのでしょう。介護する側が、自分がしなければならない作業を優先してしまったり、高齢者を「要介護者だから」と何でも手助けしたりするのは利用者(高齢者)の尊厳を傷つける可能性があります。

高齢者の尊厳を守るためには、ひとりひとりのプライドを尊重することが大切です。基本的にどんなことに気をつけたら良いかですが、介護者は利用者(高齢者)やその家族にあまり干渉しないこと、利用者の私物を勝手に見たり触ったりしないこと、利用者の愚痴や悪口を周囲に話さないことです。また、身体的や精神的尊厳を損なわないための対応の一例も覚えておきましょう。身体面で守らなければならない尊厳とは、ケガを防ぐ環境をつくることです。尊厳を損なっていると言われるのが、暴力をふるうことや必要のない身体拘束を行うこと、褥瘡のケアをしない、誤嚥の恐れがあるのに食事介助をしないなどがあります。

精神面で守らなければならない尊厳は、不安を感じさせない環境をつくることです。これで尊厳を損なっている例は、無視するしたり一人ぼっちにする、驚かせたり怖がらせたりするなどです。介護職は、社会人としてのマナーを守り、利用者を一人の大人として敬うようにしなければなりません。